2014

Apostroph

山中研究室では、生命や知性の存在を人々に訴えかける人工物を”Bio-likeness”と命名し、それを具体化するさまざまなロボットのプロトタイプ制作を行っている。
「Apostroph」は、生物の行動の中で最も基本的な「立つ」という行為を探求するためにドイツのベルリン応用科学技術大学のManfred Hild氏と制作したロボット。彼の研究は、全身の筋肉が外力に逆らうことが生物の動きの基本原理になっているというもので、ロボットにおいても、外力に逆らうモーターを全身に配置するだけで、安定姿勢をとることができるというものである。
一般的な「立つ」という行為は、重力によって各関節にかかる力に逆らう方向に動き続け、かかる力が小さくなる姿勢を見つけることで実現される。ゆるやかなカーブを描いたフレームでつながる「Apostroph」の関節には、車輪のように360°回転するモーターが配置され、外力に反発するふるまいがプログラムされている。
結果として「Apostroph」は、身体を持ち上げ、ときには橋のように大きなアーチを描き、ときには体を丸めて転がりながら、安定姿勢を探し続ける。環境を把握するセンサーも自分の姿勢を知るネットワークも持たないこのシンプルな機械のふるまいは、なぜか乳児や動物の幼体の動きを想起させる。その繊細で根源的な「生き物らしさのエレメント」こそが、未来の人工物のためのデザイン言語であると考える。

素材: ナイロン、鋼、POM、真鍮
寸法: 700 x 75 x 320mm
プロジェクト開始: 2012年 / 完了: 2014年
デザイン: 村松充、山中俊治、Manfred Hild
協力: 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所

In the Yamanaka Lab, we describe artifacts that evoke a sense of life and intelligence as "bio-likeness," and we build robotic prototypes that give concrete form to this idea.

MATERIAL: Nylon, Steel, POM, Brass
DIMENSION: 700 x 75 x 320mm
PROJECT STARTED: 2012 / COMPLETED: 2014
DESIGNER: Mitsuru Muramatsu, Shunji Yamanaka, Manfred Hild
Cooperation: Sony CSL

Photo by Yasushi Kato